新着情報

新着情報

【東洋のアルカディア】イザベラバードが旅したやまがた

イザベラ・バードという名前をご存じでしょうか?
1878年(明治11年)5月から12月にかけた日本を旅したイギリス人女性旅行家です。
彼女が日本での旅の記録を残した『日本奥地紀行』は当時の欧米でベストセラーとなり、
近世以前の日本の暮らしやアイヌに関する記述も豊富な大切な資料として今に残ります。
その中で出てくる「アジアのアルカディア(東洋の桃源郷)」という記述。
それは山形を旅したバードが置賜盆地(米沢平野)を評した言葉でした。

 

バードの旅のルートは横浜~東京~北関東~会津~越後~山形~秋田~青森~北海道、そして関西。
全部で約4500キロ以上もの道のりでした。
山形では置賜から入り上山、山形、尾花沢、新庄、金山と北上して抜けていきます。
ここかみのやま温泉でも一泊し、前述の置賜盆地の記述はかみのやまで書かれたとか!
当時は移動手段も限られており、馬や舟、徒歩などで道のりを行く過酷なもの。
置賜へ抜ける際も越後米沢街道・十三峠を土砂降りの中、馬や徒歩で越えていきました。
やっと抜けた先に広がる置賜盆地の風景は、峠越えの喜びもあり、とっても感動的だったのでしょう。

 

バードが残した旅の記述には正直に書いたあまり辛辣に感じるものもあるのですが、
山形に入ってからは豊かな自然や田園の風景を称賛する記述も増えていきます。
ここでバードが書いたかみのやま温泉(上ノ山)の記述の一部をご紹介いたします。
(日本奥地紀行 平凡社ライブラリー 高梨健吉訳)

 

砂利の多い高い丘に囲まれた小さな平野が眼前に開けてくる。
その丘の傾斜地に 上ノ山の町が心地よく横たわっている。
人口3,000を越す温泉場である。
今はお祭りの最中で、どの家にも提燈や旗が出してある。
群衆は神社の境内にあふれている。 神社のいくつかは丘の上にある。
上ノ山は清潔で空気がからりとしたところである。
美しい宿屋が高いところにあり、楽しげな家々には庭園があり、丘を越える散歩道 がたくさんある。
ここは日本でもっとも空気がからりとしたいるところの一つだといわれる。
もしここが外国人の容易に来られる場所であったら、
美しい景色を味わい ながら各方面にここから遠足もできるから、彼らにとって健康的な保養地となるであろう。

 

数年前にはバードの旅を描いた漫画も発刊され、人気となっています。
バードが苦難を乗り越えながら旅した道のりを辿って、
140年前の日本に思いを馳せてみてもいいかもしれませんね。

 

【参考サイト】
★一番険しいとされる宇津峠ではバードが「アルカディア」と称した置賜盆地一望のビュースポットも。

 

 

 

 

 

 

 

2022年7月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
ページのトップへ戻る
ページのトップへ戻る